WSD2025「触る模型」報告会とこれからの観劇サポートを考える
――WSD2025 TALK部門講演を振り返って――
01/25/2026
1月18日、新国立劇場主催による「Open Theatre Project~知ろう、始めよう、観劇サポート~」のが開催されました。その中でWSD2025 TALK部門での「触る模型」講演の様子が報告され、今後の観劇サポートの展望について意見交換が行われました。
新国立劇場では、主催公演において早い段階から「触る模型」の展示を取り入れ、視覚に障害のある方がこれから観劇する舞台空間を事前に把握できる環境づくりを進めてきました。こうした継続的な実践からも、同劇場が本取り組みの趣旨を理解し、活動を支えてくださっていることがうかがえます。
本イベントは、「触る模型」の考案者である大沢氏の進行のもと、二部構成で行われました。
第1部ではWSD2025の報告として、現地に同行した清野氏(WSD全体について)、久保田氏(触る模型の製作作業について)、二村氏(WSDでの講演内容について)より、それぞれの立場から報告がありました。製作過程や講演時の反応などが具体的に共有され、活動の背景や広がりを知る機会となりました。
後半の部では、大沢氏をはじめ第1部の登壇者に加え、現地に同行した前理事長の伊藤氏、そして視力低下により視覚に障害を持ち、自ら新国立劇場の観劇サポートを実際に利用している今立氏が登壇しました。今立氏からは、「触る模型」を利用する当事者の視点からの率直な感想や意見が語られ、触覚によって舞台空間を理解することの意味や可能性について、具体的な言葉で共有されました。登壇者同士の意見交換を通して、今後の展望や課題についてもビジョンが示され、最後には来場者を交えた質疑応答の時間が設けられました。
イベント後に実施したアンケートでは、「製作者側と利用する側、両方の当事者の話を同時に聞ける貴重な機会だった」「取り組みの背景がよく理解できた」といった感想が多く寄せられました。また、「触る模型とは、視覚情報を触覚へ翻訳することだという説明に納得した」「衣裳も触れるようになれば、さらに想像が広がるのではないか」といった、今後の活動に活かせる具体的な意見も見られました。
本イベントは、「触る模型」という一つのツールを通して、観劇体験をより多様な人に開いていく可能性を改めて考える機会となりました。今後もこうした対話と実践を重ねながら、誰もが舞台芸術に出会える環境づくりについて、少しずつ取り組みを深めていければと考えています。
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