フリーランス保護新法

10/03/2024

2024年11月01日から「フリーランス・事業者間取引適正化等法案(フリーランス保護新法、フリーランス新法、フリーランス保護法など名称あり)が発令されます。

これは組織に所属せず個人で働くフリーランスのための法令で、これまで原則として労働基準法上の「労働者」とは認められず労働関係法令で保護されなかったフリーランスの労働環境を改善することを目的とする法律です。

日本舞台美術家協会に所属する多くのデザイナー・スタッフもフリーランスで活動する会員が多く、この新しい法律によってより良い労働環境ができることが期待されます。そして、それに伴い総合芸術に携わる一員として、今まで以上に責任果たしていくことが必要になるでしょう。
 
下記に簡単にこの新法の要点を少し挙げています。詳しくは厚生労働省のHPや他のサイトなどを参考にして下さい。
また、厚生労働省より委託・運営をしている弁護士会の「フリーランス・トラブル110番」もありますので合わせてご覧ください。
 
 
 

【1】発注事業者から契約条件を書面で提供する

  発注事業者がフリーランスに業務委託をする際、契約の条件を書面またはメールで明示しなければなりません。
  フリーランス間の受発注であっても、本遵守事項は適用されます。
   ※明示すべき具体的な内容はまだ定められていません。今後、徐々に指針が整備されていく予定です。
   ※フリーランスの給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面または電磁的方法によって明示すると定められています(第3条)。

【2】60日以内に報酬を支払う

  従業員を使用している発注事業者は、フリーランスから成果物を受け取って検品を終えたのち、60日以内に報酬を支払わなければなりません。

【3】不特定多数に対する募集情報は適切に行う

  事業者がクラウドソーシングサイトやSNS、広告などで業務委託先を募集する場合、正確かつ最新の募集情報としなければなりません。

【4】フリーランスの利益を損なう不当な扱いを禁止する

  業務委託を行う事業者はフリーランスに対して以下の①から⑤に該当する扱いを禁じられています。

  また、⑥や⑦の行為によってフリーランスの利益を不当に害してはならないと定めています。

  1. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物の受領拒否
  2. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない報酬の減額
  3. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない成果物などの返品
  4. 相場に比べて著しく低い報酬の不当な決定
  5. 正当な理由のない発注事業者指定商品の購入または役務の利用の強制
  6. 発注事業者のために、金銭、役務そのほかの経済上の利益の提供を要請すること
  7. フリーランス側の責めに帰すべき理由のない給付内容の変更、またはやり直しの要請

【5】フリーランスの労働環境整備に努める

  フリーランスには組織との雇用関係がないため、労働基準法などの法令が通常は適用されませんが、フリーランス新法は、フリーランスの労働環境整備のための法律としての役割も持っています。

  例えば、委託事業者が、フリーランスに対して長期間にわたって継続的な業務委託を行う場合には、妊娠・出産・育児・介護と両立しつつ業務に従事することができるよう、必要な配慮をしなければなりません(13条1項)。長期間の業務委託ではない場合にも、同様の配慮をする努力義務を負います(13条2項)。