第65回佐賀大会 技術講習会レポート

去る7月26日~7月29日に、鳥栖中央公民館ホールにおいて『第65回全国高等学校演劇大会』(主催:全国高等学校演劇協議会)が開催され、その一環として昨年に引き続き「舞台技術講習会」が行なわれました。
7月25日に講師陣が現地入りし、5日間にわたって行なわれた講習会の様子をレポートを致します。

講師
■日本舞台美術家協会:土屋茂昭・長田佳代子
■日本舞台監督協会: 吉木均
■日本照明家協会 :乳原一美
■金井大道具(背景) :古川さん・永山さん
■日本舞台音響家協会:藤田赤目

会場:鳥栖市公民館ホール
日程:7月25日~7月29日講習会の個別講座と準備/7月29日 舞台技術講習会本番(120分)
7月27日~7月29日 第65回全国高等学校演劇大会

作品:佐賀県地区大会の参加作品の中から1作品を選んでもらい、約10分間の台本に構成しなおしたもの を上演しました。
戯曲『日だまりのきょうだい~生姜焼きを添えて~』 作:真子多恵(県立戸壽商業高等学校教諭)/演出:長田佳代子

詳細スケジュール
土屋さんによる美術プラン平面図・模型写真・エレベーション
講習会の様子
講座内容のポイント

【台本】
『日だまりのきょうだい~生姜焼きを添えて~』は、知的障害を持つ妹とその姉兄の三人兄弟を描いた作品です。
日常の小さな喧嘩や思いやる言葉を通して、人間の尊厳や命の尊さが温かく描かれています。
講習会では、その”ドラマ性”を丁寧に描く事を念頭におき、各セクションがどのようにアプローチするかを主軸としました。

【美術】
高校演劇ではあまり見かけない開帳場は、製作が難しいと思われているようです。平台と箱馬だけで簡単に開帳場を作る方法を教えると、生徒さん以上に顧問の先生方は目から鱗のようでした。開帳場にする事で生まれる、役の関係性や台詞への効果なども土屋さんが話され、主軸である”ドラマ性”と結びつき、美術プランと作品の関わり方を分かりやすく体験できたように思います。

【照明】
印象的なシーンとして”蛍”と”虹”が登場します。背景幕に蛍光塗料で描かれた蛍をUVライトで光らすというプランを具現化する中で、美術と照明がそれぞれの技術を共有しながら、一つの絵作りを進める、プランニングの現場を体験して頂けたかと思います。また”虹”は、実際に出てくるシーンではなく、ラストシーンに七色の傘でそれを表現するという演出に対し、講習会での模擬明かり作りの中で、色味と方向性を解説しながら、作品に広がりが生まれてくる瞬間を味わって頂けたように思います。

【音響】
講習会では、まず劇場備え付けのスピーカーと持ち込みスピーカーの位置を確認してもい、その方向性と音の組み合わせにより、音色がどのように変化するかを聞き比べてもらいました。その中で”蛍”のシーンでは、風鈴を袖から生音で出し、SEと組み合わせる事でシーンに与える印象の違いや、音響プランニングを分かりやすく実感できたように思います。
また最近の高校演劇では歌詞付きの音楽をよく耳にするため、あえて歌詞のない曲を効果的に取り入れ、演劇的なアプローチという部分にも簡単ではあるが触れられたように思います。

佐賀大会審査結果

最優秀校   『ケチャップ・オブ・ザ・デット』:逗子開成高等学校
優秀賞   『ジョン・デンバーへの手紙』:鹿児島県立屋久島高等学校  
      『放課後談話』:帯広北高等学校
      『Indrah~カズコになろうよ~』:福島県立ふたば未来学園高等学校
舞台美術賞 『My Name! ~The Importance of Being Earnest~』:岐阜県立長良高等学校